「日経スペシャルカンブリア宮殿」(テレビ東京)は毎週木曜夜11時06分に放送。
作家・村上龍さんがメインインタビュアーで、タレントの小池栄子さんがアシス
タントを務めており、毎回、企業のトップや起業家など多彩なゲストを迎えて、
成功の秘訣などを聞く1時間弱のトークショー形式の番組となっています。
10月10日(木)放送は、石川鋳造株式会社の石川鋼逸社長が出演し、「逆転の
発想で大ヒット!町工場のフライパン革命」と題して、新発想のフライパン開発
秘話から、サブスク展開、野球で培った経験を会社経営にどう活かしたのかなど、
町工場の挑戦について熱く語りました。その概要についてご紹介致します。
石川鋼逸さんの町工場が開発した「おもいのフライパンとは」?
これまでのフライパンは「軽い・薄い・コーティング済み」が主流でした。
しかし、愛知県の町工場で開発・製作したのが、これまでの常識をひっくり
返した「重い・厚い・無塗装」のフライパン。
従来の商品と比べて、約3倍の重さで1万円以上の高額にも関わらず、
お肉をおいしく焼くことに特化した、こだわりのフライパンは「おもいの
フライパン」というブランド名で大ヒットしています。
鋳物製品作りの町工場として創業86年の歴史と技術・経験を積み重ねてきた
石川鋳造株式会社。
鋳物の強みと魅力を最大限に引き出した結果、生まれたのが
「重い・厚い・無塗装」のフライパンです。
このフライパンの威力は、実際にお肉を焼いた時に一番良くわかります。
フライパンに厚みがある分だけ高温で熱伝導も良くなるため、表面に焼き目がつく
だけでなく中まで火が通ります。
焼き上がりが早いので、お肉が硬くならず、肉汁が外に逃げず、ジューシーさを
キープしてくれるのが最大の特徴です。
しかも無塗装だから、コーティングが剥がれる心配もなく、「安心安全」という、
これまでにない画期的な商品で登場した頃は「フライパン革命」と注目されました。
また、この「おもいのフライパン」というネーミングには、3つの「おもい」が
込められているそうです。作り手の思いと、お客様である使い手の思い、そして
商品の重い。重いことが、おいしく食べたいという思いに重なるので「おもい」
と名付けたようです。キメ細かく考え抜かれたブランド名ですね。
石川鋼逸さんが開発を主導、その誕生秘話とサブスク展開
この「おもいのフライパン」を開発・主導したのが、2004年に32歳で
同社の4代目社長に就任した石川鋼逸さん。
4年後の2008年にリーマンショックの影響で売上げの柱だった自動車関連
部品の受注が激減し、工場が大ピンチに。
そこで石川鋼逸さんは、時代の流れに左右されない鋳物作りの強みを活かした
新製品を作ろうと、若手社員を中心に社内でプロジェクトチームを立ち上げま
した。
いろいろな案が出て、その中の一つが「家庭でもお店レベルでお肉がおいしく
焼けるフライパン」作りでした。
世の中にまだ出回っていない、こだわりの商品を開発するには、どうすれば
よいのか。構想10年、地固めして商品化するまで3年。1,000回以上の
トライ&エラーを経て、誕生したのが「おもいのフライパン」です。
2017年に専用のECサイトを開設し、「世界で一番お肉がおいしく焼ける」を
キャッチフレーズにブランドの「おもいのフライパン」を発信しました。
サイトのみの発信力で、約5年で販売枚数は累計7万枚を超えました。
一般家庭を中心に外食産業などプロの世界からも引き合いが強く、幅広く支持を
集めており、入手1ヵ月待ちの大ヒット商品となっています。
さらに次の一手としてサブスク(定期便)にも着手しました。
お肉のサブスクは、専門の肉屋が商品を厳選、家庭で最高のお肉が堪能できる
サービスです。
ワインサブスクは天然地下で熟成するワインの中から、こだわりの熟成ワインを
楽しめるサービスで、1%の顧客を対象にスタートしましたが、受注は右肩
上がりに伸びているようです。
フライパンとお肉、ワインの組み合わせは日常のシーンでは当たり前で、
見過ごされてしまいがちですが、サブスクに繋げた視点はユニークです。
石川鋼逸さんは語ります。「見過ごされたところに取りこぼしがある」と。
「町工場は普通にやっていたら勝てない。野球でもそうですが、力では
勝てない相手には、『戦術』で挑むしかない」とも。
逆転の発想で「おもいのフライパン」を開発し、同時にブランディングや
情報発信にも力を入れ、上手に活用したことが成功の要因と言えるでしょう。
石川鋼逸(いしかわ こういつ)さんのプロフィール経歴
1972年生まれで52歳。出身:愛知県碧南市。高校:愛知県立碧南高等学校。
大学:中京大学。2004年に石川鋳造株式会社の4代目社長に就任。
同じ頃、妻・寛子さんと結婚。寛子さんは同社の総務を担当し、公私の両面
から石川鋼逸さんをサポートしています。
趣味:野球
高校では野球に明け暮れた日々を過ごし、投手として活躍。大学卒業後は
母校の野球部監督を7年間務め、チームを県内ベスト4まで導きました。
ヒット商品を生んだ背景には「野球で培った経験」がベースになっている
ことがわかります。チームプレーである野球を通して、皆で力を合わせて
一つの目標に向かっていくことの大切さを、会社経営でも遺憾なく発揮し、
座右の銘「やればできる 魔法の合言葉」が社風になっているようです。
社長就任後も、石川鋳造野球部を率いり、各大会で優勝する強豪チームに
育て上げるなど、すべての面で積極果敢に挑戦していく姿勢が伺われます。
・石川鋼逸さんの講演依頼に関する記事もご覧ください↓
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